EDとカフェインの関係 

コーヒーや紅茶などにはカフェインを含んだ飲み物としてよく知られています。仕事中の眠気覚ましにコーヒーを飲むという人も多いのではないでしょうか。このカフェインがED(勃起不全)に対して効果的かもしれないという研究結果が示されているので今回はEDとカフェイン等の関係をお話していきます。

ED(勃起不全)とは

ED(勃起不全)とは勃起機能の低下を意味しており、全く勃起しない状態だけではなく、中折れであったりパートナーによって勃起したりしなかったりという状態も含みます。このようなED症状に悩む男性は成人の3人に1人いると言われています。原因は加齢によるものや生活習慣病によるもの、精神的要因によるもの、服用して薬剤の影響によるものなどがあります。なかなか相談しにくい繊細な問題であるため1人で悩んだり、ネットの情報に惑わされたりすることもありがちですが、専門の医師に相談し適切な処置を受けるのが改善への最短距離です。

勃起のしくみ

勃起は性的興奮を感じると、その興奮は大脳→脊髄→脊髄勃起中枢→陰茎海綿体の神経の順で伝わっていきます。陰茎海綿体の中で放出された一酸化窒素が血管や筋肉に作用し、cGMP(環状グアノシン―リン酸)という物質が増加します。そしてcGMPの働きによって筋肉弛緩、血管拡張された陰茎海綿体に血液が大量に流れ込み充満することによって陰茎が勃起します。また、勃起がずっと続くと困るので射精したり性的興奮が収まると勃起を終了させようとする物質が現れます。それがPDE-5(ホスホジエステラーゼ―5型)という酵素です。このPDE-5がcGMPを破壊することで陰茎を通常の状態に戻します。EDはcGMPとPDE-5の関係が崩れた時に起こります。陰茎の血液量を増やし、勃起を促すcGMPの量が減ってしまっているのに、勃起を終了させるPDE-5は正常に分泌される状態にあるのがEDです。

EDとカフェイン

アメリカ人男性をターゲットとして、EDとカフェインの関係性を調査したのが2015年に発表された「Role of Caffeine Intake on Erectile Dysfunction in US Men:Results from NHANES 2001-2004」という論文です。この研究ではカフェインをほとんど摂取していない人(一日の摂取量0~7mg)と比べて、一日にカフェインを(85~170mg)摂取している人、171~303mg摂取している人のEDの有病率が約60%も低かったとの結果が得られています。このカフェインの量はだいたいコーヒー2~3杯分に相当します。つまり、毎日コーヒー2~3杯分のカフェインを摂取している男性はEDになりにくいのではないか、という研究結果です。

カフェインでもたらすED改善

カフェインには陰茎海綿体の平滑筋や陰茎の螺旋動脈の弛緩を促す効果が期待されるため、これがED減少に寄与しているのではないかと考えられています。また、カフェインにはEDの原因となりうる酸化ストレスを減少させる抗酸化作用があることも知られています。ただし、今回の研究では一日304mg以上のカフェインを摂取している人たちにはED有病率の有意な減少は見られませんでした。これまでの他の研究を見ていても、適度なカフェイン摂取が効果的なようです。カフェインは亜鉛などのミネラルの吸収を阻害してしまう効果もあるため、飲みすぎには注意が必要です。

ただEDを改善するためには、まず生活習慣病を改善しなければなりません。例えば、肥満や運動不足は生活習慣病と深い関係にあります。それらを解消すれば生活習慣病にかかりにくくなりEDを遠ざける結果にもなります。そしてテストステロン(男性ホルモン)は加齢に伴って減少します。肥満の男性はテストステロン値が低い傾向にありますので、体重を落とせばテストステロン値を増加させることができます。このようにEDを克服するためには色々な予防手段がありますが、適度な運動を続け生活習慣病を改善しつつ、ED治療を行えばその効果は確かなものになるはずです。

更なる研究が続く...

カフェインはコーヒーや紅茶以外にも緑茶、ほうじ茶、烏龍茶、コーラなどの飲料に含まれています。その他にも栄養ドリンクやエナジードリンク、食べ物であればミントガムやカカオを多く含んだチョコレートなどからもカフェインが摂取できます。また今回の対象となった人たちの特徴を詳しく見ていくと、カフェインによってED有病率が低下したのは高血圧の人、肥満の人、糖尿病を持っていない人に限っていたことも示されています。動物実験の結果からもカフェイン摂取が勃起機能に好影響を及ぼすことが考えられますが、その関係性は完全に明らかにされたわけではありません。抗酸化作用や抗炎症作用を持つことから、カフェインは糖尿病や心筋疾患、さらにはがんなどの発生率を低下させる可能性を示す論文も発表されています。カフェインがもたらす恩恵についての研究は、今後も続いていくのではないでしょうか。

最後に

上記で話した事柄をふまえて、EDや早漏症に悩まれている方は専門のクリニックに足を運んでみてはいかがでしょうか。バイアグラなどのED治療薬を服用することによって勃起する時間が長くなったり、前よりも勃起の硬さがしっかりしてきたりと色々と良い面が出てくると思います。もし少しでもEDの症状で不安な事が出てきたら、専門のクリニックやかかりつけの病院で相談してください。

 

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